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第35回 「SNSの利用と就業規則」

アルベリーアジア代表(CEO)の増井哲朗です。

ソーシャルメディア、SNSは利用の仕方次第で、販売促進などの有効な手段として使えたり、逆に問題発生の原因になったりと「両刃の剣」と言えます。実は、このテーマは第30回に「SNSの発信について(就業規則)」として扱っております。ただ、最近になって相談件数は増加しています。SNS利用の問題点、また、それを防ぐために就業規則内にどのような条項を用意すべきかについて、あらためて書いてみる次第です。

情報漏洩を防ぐための基本条項

まず、誰もがすぐに問題点としてあげるのは、SNSを通じて「外部に知られては困る情報が漏洩してしまう」

ということだと思います。当方の経験では、社内で撮影されてSNSにアップされた写真の中に、まだ未発表の製品が写っていた、あるいは写真を拡大したら見積金額が読めたというようなケースがあります。

もちろん、写真だけの問題ではありません。会社の事業計画や人事情報なども漏洩されては困る情報です。

上記のことから、当方が作成する就業規則には次のような条項を、従業員が守るべき規則として入れるようにしています。

「ソーシャルメディアに会社及び取引先の名称や事業内容、商品・サービス・ブランド・ロゴマーク、職場・業務風景、また関係者の個人名が特定できるような文章・写真・映像を書き込んではならない.しかし、会社の許可を受けた場合、または会社の要請に従いこれを行うときは認められる」
「ソーシャルメディアに会社業績や経営戦略、開発情報、人事に関する情報、
顧客情報など社内の機密情報を書き込んではならない」

本来ですと、この二つの条項の記載で一安心と言いたいのですが、これで終わらないのが、SNSが生活のインフラとして浸透している証でもあります。

SNSによる暴走を予防する

当方の経験した事例で、愛社精神に溢れた従業員がSNSで競合他社を誹謗中傷するという事例がありました。結局、会社としての謝罪を要求されるという事態に発展しました。当然、相手側からは「会社が意図して発信させた」と疑われるわけですから、
その防御策として、就業規則に以下のような条項を入れておくのは有効です。

「ソーシャルメディアにより同業者や仕入れ先あるいは競合先など、第三者に対する誹謗・中傷を行ってはならない」

会社内の利用にも用心

さらに、SNSの社外ではなく社内に向けた利用にも注意が必要です。
社内の通達事項を連絡するために、SNSのグループネットを作るケースがあります。
それが、いつの間にか、会社、上司への不満のはけ口として利用されたり、従業員同士が反目する原因になったりと、本末転倒な結果を生むことがあります。
会社の雰囲気も悪くなります。

したがって、上記のようなグループネットを組成する場合には、簡単で良いので「会社内規定」を作り、目的、利用方法、管理者などを定めておくのが必須です。そして、それを逸脱した利用者は退場させるなどの対応・メンテが必要となります。

SNSにより発生した問題についての相談は増えています。
一方、従業員との連携で宣伝効果をあげているというケースもあります。
生活のインフラといえるほど生活に密着しているSNSですから、これからも、良いことも悪いことも、様々なことが起こると思います。注視していく必要があります。

それでは今日はこの辺りで失礼いたします。

 

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