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第32回 技能実習制度を活用する

アルベリーアジア代表(CEO)の増井哲朗です。

 

技能実習制度について、知っている方は多いと思います。

「技能、技術または知識の発展途上国などへの移転を図り、人づくりに協力する」ことを目的に設立・運営されている日本国の制度です。

 

ただ、この素晴らしい理念とは裏腹に、マスメディアは多くの負の側面を報じています。「衰退する産業の延命策に“出稼ぎ”を低賃金で使っているだけ」という論さえあります。実習生制度の全体像・詳細を知ろうと思えば、ネット上に多くの記事が掲載されています。そちらをご参照ください。

本稿では、技能実習制度のあり方を論ずるのではなく、この制度を上手に利用することで、タイ進出の成功確率が確実に上がることをお話したいと思います。

「先」を見越した技能実習制度の活用

当社はタイ国最大の実習生送り出し機関である「タイアサワラート社」を応援しています。同社の良いところは、寄宿舎付きの日本語学校だけでなく、地方の大学・専門学校(高専)と連携して、卒業生を実習生として募集している点です。したがって、タイでの就業経験のない人材がほとんどです。学業の延長線上で仕事と向き合い、熱心に技術や知識を習得します。

 

ある企業がタイ進出を考え始めた時点で、前述のようなタイ人実習生を受け入れてみてはどうでしょうか。そして、3年間の実習が終わり、当該実習生がタイに帰国するのに合わせて、タイでの事業展開を開始するというのは効果的な戦略だと思います。

もちろん、タイで直接雇用して研修生として日本で学ばせるということはできますが、滞在中の生活全般への配慮を考えると、技能実習制度を上手に使う方が安心だと思います。

日本本社に外国人が入社することで、従業員がよい刺激を受けて志気が上がったということも聞きました。また、3年は長いようですが、タイ進出の準備を進めるには、ちょうど良い期間ではないでしょうか。

日本での就業経験がある実習生の強み

すでに、タイに進出している企業様には、帰国した実習生の採用をお勧めします。

実習生を受け入れた日本企業の中には、タイに会社を持たないという企業が多くあります。そうした実習生は、タイに帰国した後、同じ会社のタイ法人に勤めることが叶いません。そうした帰国実習生と面談すると思わぬ良い人材に出会います。

まず、日本の現場の習慣をよく理解していること、日本語で意思疎通ができることなど、採用には大きなメリットがあります。

 

最近、実習制度の負の側面ばかりが強調されているようで残念に思っています。

皆様には、ぜひ、上手に利用することを勧めたいと思います。

 

ではまた。

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